「アイセックの将来に望むもの」
加藤幹夫
国際文化会館・常務理事
1960年の夏、ペイジとハインツというエール大学の学生によって、はじめてAIESECなるものが日本に紹介された当時から、日本におけるAIESECの成長を視察してきた私にとって、現在のAIESEC-Japan の隆盛をみることは、この上ない喜びである。
1962年はじめてAIESEC-Japan が海外に送り込んだ研修生の数は7名にすぎなかったが、1965年度において、西ドイツとの特別交換研修生98名を含めて、125名におよんでいる。さらに明年度には、アメリカとの大規模な特別交換計画が実現される見通しがつぎ、また1970年度には、International AIESEC Congress を日本に招聰しようという計画が進められているとも聞く。このような驚異的なAIESEC-Japan の成長が、財界をはじめとして、その他各方面からの援助があったとはいえ、学生達の手だけによっておし進められてきたという事実は特筆されなければなるまい。しかし交換研修生の量的な増大が、そのまま研修プログラムの質的な向上と必然的に結びつけて考えることは危険である。1962年にAIESEC-Japan が正式に発足してすでに5年たち、国内組織の地固めの仕事が一応終えた現在、今後の努力の目標としなければならないことが何んであるかを、じっくりと検討してみる必要があろう。私は今まで、局外者としての立場からだけしかAIESEC-Japan に関係しなかったため、内部の具体的な運営実情は全く知らないが、私なりに考えている今後のAIESEC-Japan のあり方、努力の方向などについて若干の指摘をしてみたいと思う。
AIESEC-Japan が正式に発足してすでに5年たち、国内組織の地固めの仕事が一応終えた現在、今後の努力の目標としなければならないことが何んであるかを、じっくりと検討してみる必要があろう。私は今まで、局外者としての立場からだけしかAIESEC-Japan に関係しなかったため、内部の具体的な運営実情は全く知らないが、私なりに考えている今後のAIESEC-Japan のあり方、努力の方向などについて若干の指摘をしてみたいと思う。
先ず第一に指摘したいことは、研修参加学生の語学力の問題である。過去2年間研修生選衡委員として、直接学生諸君の外国語に接する機会を持ったが、研修応募者の一割足らずしか、外国の企業組織の中に入り込んで何かを学びとって帰るのに充分な語学力を備えていないのはほんとうに残念である。いくら旺盛な問題意識を持っていてもコミュニケーショソのための手段となるものに欠けていては、国際仕会においてはいかんともしがたいのである。とくに、AIESECにおけるプログラムは、最近急増をみせている他のいろいろな学生の海外旅行プログラムとは質的により高度なものだけに、研修参加者に要求される語学力も高いものとなるわけである。従来、日本の社会においては、外国語のできる入間は、通弁といういささか軽蔑のニュアンスのこもった言葉で呼ばれ、インテレクチュアルな社会からは毛嫌いされてきた傾向があったが、スパーソニックの二十世紀の後半の社会では、外国語、特に英語で自己を表現する能力を備えることは、教育ある人間のミニマムな条件となりつつあるのである。さりとて、私はAIESECの研修参加者の語学力を向上させるための妙案を持っているわけではない。しかし、オリエソティーションの中に、比較的長期でしかも可成りインテンシブな語学コースを導入するとか、LC単位で、AIESECのメンバーのための語学研修コースを設けるとかの方法によって、可成りの成果を期することができるではないかと思う。
第二に指摘したいことは、アジア地域内における研修生交換、協力の促進体制の確立ということである。Quebec Congress の決議に基づいて、ようやく今年度からAsian Coordination OfficeがAIESEC-Japan 内に設立されるようになり、手初めとして、日韓の交流が実施されたようであるが、世界第三の産業国としての日本からして、アジア低開発国からの研修生受け入れは、もっと、もっと大規模に行われなければならない。AIESEC-Japan News No.6 「アジアとの交流」によると、1970年におけるアジア地域との研修生交換は24〜5名となっているが、この数字はあまりにも少なすぎるのではないか。勿論、日本以外のアジア諸国においては、NCの組織が確立されている国が少ないこと、AIESEC の研修生交換は一対一を原則としていることなどの技術的な問題はあるが、AIESEC-Japan が積極的なイニシアティブをとれば、アジア地域内部における特別交換プログラムをAIESEC International に認可させるにはさした困難もないだろう。欧米からの研修生なら引き受けるが、アジア地域からの研修生ならお断りだという日本の企業が現在のところ大部分であるらしいが、こう云う点についても、積極的に打破する努力を続けなければならないだろう。さらに、中国が現状のままで長く国際社会から孤立していくことは考えられないのであるから、将来、中国が国際社会へ復帰した際における状態をも含めたアジア地域における交流ということを考えておく必要もあろう。年間の平均一人当たり所得が100ドルそこそこの国が大部分を占めるアジア地域における交流協力体制を組織化するにあたってのAIESEC-Japan の責任は重大である。経済実務の各種の分野において、十分な訓練をうけたAIESECのOB たちを、年間100名位の割合で、アジアの諸地域にアメリカのPeace Corps のような形でAIESEC-Japan が送りだせるような日が1日も早くきて欲しいものである。
私がAIESEC-JAPANの今後に望みたい第一の点は、事務局の恒久的体制の確立、即ち、AIESEC-Japan の財団法人化を目ざすということである。AIESECが、学生だけの手によって運営されることに勿論、大きな意義があることは十分認めるが、増々拡大していくAIESECの諸活動に伴う、事務的な仕事の増大と複雑化は、学生の負担を増々重くしていくし、また予算額の増大に対する外部からの不安を生じさせないようにするためにも、恒久的なSecretariatの体制を確立することは急を要するように思われる。過去5年間の歴代の委員長の大部分が、学業を投げうって、AIESEC の事務的仕事に奔走しなければならなかったのは、創設期における例外的なものであり、止むを得なかったものとしても、やはり、本末転倒の感はいなめ難い。勿論、恒久的な Secretariat の体制の確立が、学生のイニシプチブを殺すようなことが生じないように充分な注意と考慮が払われなければならないが、Secretariat体制の確立は学生の負担を軽減し、プログラムの質的向上に資すること大であることは明らかである。
Posted by Kinashi at 2006年02月01日 17:25