今月に入って、「プレジデント誌創刊の足跡」という「プレジデント社」の社内限定本が届きました。その中に、元タイム社アジア総支配人兼プレジデント社副社長北岡靖男氏(1928.12.10〜1997.2.10)とのインタビュー記事の中にAIESEC in Japan創設にかかわるお話が掲載されていたのでご紹介します。

ありし日の北岡靖男氏
北岡:ニューヨークから日本へ帰ってくる直前に、(タイム社国際担当副社長の)エド・ベイカーが僕を自分の部屋に呼びましてね。タイムライフビルの33階から、ウエストサイドを見下ろして、向こうにハドソン川があって、そこに大きなデラックス船がダーツと並んでいてね。大西洋航路花形のころですよ。大きな「ユナイテッド・ステーツ」だとか「イル・デ・フランス」だとか、ダーツと並んでいる。それを見下ろしながら、彼が僕に真剣になってこう言ったんです。
「AIESECという組織があるんだ。ワシはそれの評議員の一人だ。お前さんが日本に帰ったら、ぜひとも日本にそういう組織をつくってほしい」と。
要するに、全世界の経済商学関連の学生の交流機構ですよ。細かい翻訳は忘れましたが、「ついてはすぐにでも日本で外国の学生を引き受けてくれないか。しかもそれを関係各方面に紹介して、AIESECの芽を育ててほしい」と、ベイカーが一生懸命僕に延々と説明したのを覚えていますよ。
そして日本へ帰ってきたら、間もなくドイツからバーン・トーマスという学生が来たのです。これがものすごく優秀なヤツで、これこそ本当に日本のAIESECの歴史に残るべき人物ですよ。僕ももちろん手伝っていろいろなところに紹介したり、アドバイスしたり、いろんなことをしましたけれども、とにかく彼の組織力というかセールスマンシップというか、ものすごかったですね。あれよあれよという間に、日本の主だった各大学の中にAIESECの支部をダーツとつくりましたね。一橋、慶応。早稲田はそれほどでもなかったけれども、同志社ね。そのころの同志社の学生が寺西です(注:同志社LC/1967卒/北岡靖男氏秘書、タイム誌広告営業。後、プレジデント社広告渉外担当)。慶応が今の木梨ですよ、「フォーチュン」にいる。(注:慶応LC/1969卒/北岡靖男氏秘書。後、フォーチュン広告担当、プレジデント社監査役)
そういう意味ではベイカーというのは偉い人で、タイム社の国際部門の副社長が、なぜ僕にAIESECがいかに大切な組織であって、早くその芽を日本に育ててほしいと言ったのか…..。本当に熱意をこめて僕に話したんですね。それが今、大変に広がっているわけでしょ。それにプレジデント社は非常に大きな貢献をしたと思いますよ。
― そこらへんを少し具体的に…..。
北岡:そのバーン・トーマスの次の次の次ぐらいから、どういうわけか日本のタイムライフが引き受けられなくなって、プレジデント社に紹介して、たまたまプレジデント社ではみんな英語ができないんで、英語教育にもなるのではなかろうかということで、それから何人か来たでしょ。
― 四人です。
北岡:一人、シャープなんていうのがいましたな。この間、遊びに来たよ。
― ウチにもときどき来ているんですよ。
北岡:観光業か何かやっている。
― カラムもそうだな。カラムは、今はなかなか有名人なんですよ。
― カラムの弟は「フォーチュン」の編集部だって?この間そう言っていましたよ。カラムは国務省ですね。シンポジウムのパネリストか何かで日本に来たんですから。それから、アラブがいた。モハメッドね。
北岡:うん、いたいた。
― ドクターね。
北岡:このAIESECには、プレジデント社は相当大きな貢献をしていますよ。そのころの連中が、すべての日本の組織のオーガナイジングをやったわけですからね。
― バーン・トーマスというドイツから来た男は、日本にAIESECを組織化しようと…。
北岡:ということを主目的として来たわけです。それを日本のタイムライフで引き受けたわけです。だからタイムライフの仕事は一切しなかった。とにかくただ走り回るだけ。
― その滞在費とかペイはタイムライフが保証をして…..。
北岡:全部保証したわけです。
― この間、僕のところにキングストンというヤツが来たんだけれど、こいつはスタンフォードを昨年出た学生上がりなんだ。これがアメリカのAIESECの….。
AIESECというのは、要するに各国の青年諸君たちがお互いに交流して….。
北岡:経済学部と商学部の学生の研修機構ですね。全世界のそれをサポートする企業が、その学生を半年なら半年、引き受けるわけです。
― 仮に現在のプレジデント社がそれに貢献があったとすれば、非常に初期の時代に、わずか四人だけれども、それを引き受けたという意味ですね。
北岡:草創期にそういう活動家をかくまった。
― アジトを提供したというわけですね(笑)。
北岡:そういうことです。
― 英語を習得するという点前のほうの目的は達成しなかったけれど….。シャープなんか日本語がうまくなったものね。逆に向こうが日本語を覚えて言っちゃった(笑)。